みなさん、はじめまして。
今日は、私の簡単な自己紹介と現在住んでいる環境についてシェアしたいと思います。
日本で出会ったイギリス人の夫、3人の子供たち、ワンコとニャンコに囲まれて賑やかに暮らしています。主人の転勤に伴い、日本からイギリス、香港、カタールを経て、現在はアラブ首長国連邦(United Arab Emirates)、ドバイに在住しています。
中東の国へ初めて入ったのは2008年。当時まだ3歳だった長男がカタール空港で現地人を見ると「バットマンの友達がいっぱいいる!」(苦笑)とおどおどしくしていたこと、砂漠と砂ぼこり、古い建物や車、スパイスの香り、あってないルールなどカルチャーショックが非常に大きかったのを覚えています。



世界一退屈な国と言われるカタールですが、以外と日本企業や駐在員の方も多くて心の支えとなり楽しい生活を送ることが出来ました。手に入りにくい物資や目新しいものを求めては、飛行機で1時間のドバイへよく休暇に来ていましたね。
皆さんは、“ドバイ“と聞いてどんなイメージを持ちますか?暑い国、砂漠とラクダをイメージする感じ…高級感漂うお金持ちなアラブの国…もしくは、よく耳にするけど実際のところ、わかってないみたいな…中東アラブ諸国と聞くと、危ないイメージを抱かれる方もいるかもしれませんね。
人口の8割が外国人
ここ20~30年でその知名度を一気に高め、ビジネスの拠点として急激に発展してきたドバイ。積極的に多くの外国人(人口の8割)やテクノロジーを他国から受け入れ、インターナショナルな大都市となっています。
アラブ最大の金融シティーとも言われるように、世界中から多額の投資金を集め、有名ブランドが連なる世界一のショッピングモール、世界一高いビル、世界一大きな人工島、7ツ星「超」豪華ホテル、大型高級ビーチリゾートホテル、高級住宅、室内スキー場、大型室内テーマパークなどなど。ドバイのラグジュアリーさは少し現実離れしたようなところもあります。


歴史と風土
漁業や真珠とりや造船といった海沿いでの商売が盛んだった所へ海外からの商人たちが、金・香辛料・織物などの貿易で出入りするようになり、サービス業が栄えていきました。今でも観光名所の一つ“スーク”と呼ばれるマーケットでは、金製品のジュエリーショップ、骨董品、香辛料、香水、色鮮かな織物などがきらびやかに並んでいます。


高層ビルが立ち並ぶ都市部を離れて20分も車を内地へ走らせると砂漠地帯が広がっていて、ラクダと道路わきで出くわすこともしばしばありますよ。
砂漠地帯なので通年気温は高いながらも季節を感じ、季節の変わり目には映画で見るような砂嵐もやってきますよ。冬場の気温は10―25度。真夏には、気温が35-45度まで上がり、体感温度は50度を超えます!!湿度も上がってくるので外へ出るとサウナ状態で汗がぐっしょり。
イスラム教 ー 1か月断食「ラマダン」ー
イスラム教には様々な教戒があり、豚肉やアルコールが禁止されていたり、一日のうちに礼拝の時間が決められていたりします。男性は白い民族衣装dishdash(ディッシュダッシュ)、女性はabaya(アバヤ)という黒い民族衣装を身に着ています。モスクと呼ばれる礼拝堂も町のあらゆる箇所に建てられていて、ショッピングモール内にも化粧室と同様に必ず礼拝ルームが設けられています。
世界中のイスラム教徒が各国それぞれの場所で毎年行う「ラマダン」。1年を354日とする月の満ち欠けに基づくイスラム暦。その9番目の月をラマダン月とし、ラマダン期間はその月の新月から次の新月まで。新月と共に信仰心を清め、さまざまな欲望を抑えて、日々の恵みに感謝し、神への献身と奉仕に捧げる神聖な行事期間となります。より良い自分を目指し、精神を鍛え、普段の悪い習慣や癖を正していくこともラマダンの目的のようです。


断食と言っても、約1ヶ月の間ずっと飲まず食わずというわけではなく、断食する時間は日の出から日の入りまで。しかし限られた時間とは言え、仕事や学校、プライベートとの両立など大変なこともあるはず、どのように過ごしているのか気になりますよね。近年では健康志向に伴い「ファースティング」という言葉をよく耳にしますが、日頃から何の不足もなく食料が手に入る、飲食を制限されない環境にいると、1ヶ月の断食と聞いても想像しにくいものがあります。もちろん病人や妊婦さん、高齢者などは、免除されます。子供たちへ対しても幼いころからの規律と道徳を教える適切なタイミングとしてラマダンは用いられ、徐々に(年齢に応じて少しずつ断食の時間を長くしていき)ラマダンの意識を受け継いでいきます。断食をしている子供たちのクラスメイトは、体育の時間とランチタイムの時間は図書館で過ごしているようです。
日が沈みかけるころの礼拝を済ませて、その日初めての食事「イフタール」をとります。家族や友人と集まってイフタールをする習慣から絆を深める月とも言われ、奉仕に捧げる期間でもあるラマダン中は、国による募金活動や貧しい人への施しや食事が振るまわれます。
各家庭では、ラマダンが近づくとその食事や行事準備のために町やスーパーでは特売セール品が並べられたり、ラマダングッズで飾られたりと中東式クリスマスのようなきらびやかな雰囲気になります。リゾートホテルでは豪華なイフタールを堪能できる「ラマダンテント」と呼ばれるものも登場し、中東独特な伝統文化の味を深く楽しめるのもラマダン期間限定の観光の魅力の一つでもあります。
私が今まで体験してきたラマダン時期は、断食を行う信者への配慮と敬意を示すために観光客も非イスラム教徒も公共の場では日中、飲食(チューイングガムも)や喫煙が禁止となり、飲食店も閉まっていたり、外から見えないようにカーテンがおろされたりして、それが当たり前と言ったような変わらない風習がありました。が、ここ数年のドバイは目まぐるしい社会の変化に伴い?カーテン無しでの通常通りの営業で、古い壁を取り壊すように全く今までとは違ったラマダン風景となり、ドバイ政府の思い切った決断に大変驚かされました。
神秘的なイスラムアートの世界
ドバイ政府の豪快さは、驚異的な建築物にもあらわれています。魅力的な名所は数多くありますが、今回はラマダンにちなんで宗教的要素の強い建築やデザインを見てみましょう。イスラムでは偶像崇拝が禁止されているため人物や動物を描くことがNGとされているために、独特なデザインが生まれ、「幾何学模様」「植物模様」「文字模様」が発展してきたようです。

幾何学模様(きかがくもよう)とは、三角、四角、六角などの多角形や円、楕円、直線などの単純な図形を組み合わせ、それを平行移動、反転、回転、拡大・縮小、分割などの動きを加えながら配列を形成していきます。その操作を複雑に繰り返すことにより、無限の模様展開が広がっていきます。角ばった形は男性性エネルギー、丸みを帯びた形は女性性エネルギー、又更には色を加えることでも各色から受け取るイメージや効果もさまざまですよね。


威厳ある神の啓示が示された「コーラン」を美しく目に見える文字として表現するために1000年以上もの時間をかけて磨かれてきたアラビア書道。建物や家具、アートやジュエリーなどにも用いられ、眺めているとその文字の自然な形やバランスのとれたプロポーションに不思議な魅力を感じ、引き込まれていきます。リズミカルな配列は音符にも見えるような・・・意味がわからなくても何かを感じる文字芸術です。
イスラムの人たちは視覚を通して、こう言った模様から神聖なエネルギーや波動受け取り、崇拝する神を身近に感じてきたのでしょうか。
幾何学から浮かび上がる精神性
生活に取り入れることでヒーリング効果もあるとされるスピリチュアルな神聖幾何学模様、フラワーオブライフやエッグオフライフは見たことや聞いたことがあるという方も多いのでは。宇宙や生命誕生を意味する連なる美しい形に見惚れてしまい、何かメッセージ的なものが心に響いてきますね。私たちの周り自然界の中にも多数存在している幾何学は、雪の結晶、生物や植物の細胞にも見られ、規則正しく並ぶ宇宙エネルギーの法則に神秘性を感じます。

人々の暮らしを彩どり、生活の支えとなってきた民族模様。日本の唐草模様や仏教国の曼荼羅絵といったように各国の伝統モチーフはさまざまです。そこに込められた一つ一つの意味や願い、ルーツを知っていくとまた違った発見や感動もあり、見慣れた景色が光輝いて見えてくるのではないでしょうか。私にとってまだまだ未知なる中東アラブの国、普段の何気ない生活をもう少し深く意識しながらこの地に根付く「衣・食・住」の探求をしていきたいです。
みなさんも新たな気づき・学びを求めて、街中をぶらり散策されてみてはいかがでしょう。